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“記憶”の表現が巧みだった【エターナル・サンシャイン】※注 ネタバレあり! [Movie]

生まれて初めて試写会なるものが当たり、平日21時過ぎから上映という無茶な上映時間であったが(都外の方の場合、最終電車を逃すギリギリの時間なので)、せっかく二人まで観られるのだからと家族を無理矢理連行し、渋谷まで車を飛ばして【エターナル・サンシャイン】を観に行ってきた。
時間的に人が集まるか疑問だったが、やはり無料で観られる‥しかも話題の作品となると時間など気にならないようで会場は満席状態。
来たのが遅すぎたかと思っていたが(入場前に結構並んでいたので)、ちょうど良い時間に自分達は到着したようで、無事に良い席を確保することができた。
・・・と、実は、この試写会は先月の3月10日のことだったりする。
公開前だったこともあり(公開は3月12日からだった)、コメントを控えていたのだが、そのままスッカリ忘却の彼方へと逝ってしまったのである…。
・・・というわけで、今更ながらに感想を。

主人公ジョエル・バリッシュに珍しくシリアスな役を演じる顔面筋が自由自在のジム・キャリー、その恋人クレメンタイン・クルシェンスキーにケイト・ウィンスレット。
そして二人を取り巻く‥二人の記憶を握る管理者?=スタッフ達に、病院受付のメアリーに「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」で素晴らしい存在感を魅せたキルスティン・ダンスト、クレメンタインに惚れてしまうパトリックに“フロド”ことイライジャ・ウッド、ジョエルの記憶削除の処理を実際に行うスタンに「コラテラル」のマーク・ラファロ、記憶を消せる医師Dr.ハワード・ミュージワックに「恋におちたシェイクスピア」のトム・ウィルキンソン。

自分はジム・キャリーの作品はコメディしか観たことがなく、喜怒哀楽が激しく強烈なキャラばかりの印象があって‥どうしてもその印象が拭えなかったのだが、この作品でのジムは良い意味で淡々と演じていて演技力があると感じた。
ケイト・ウィンスレットは、子供っぽさと繊細さを持つ自由奔放なクレメンタインを、キルスティン・ダンストは普通の‥ちょっとキレ気味のメアリーから“とある瞬間”を迎えた後のメアリーとの違いを、二人とも見事に演じており、“フロド”ことイライジャもフロドとは全く違うイカレっぷりだ(笑)


どちらかというと…普通のラヴ・ストーリーとは違いシリアスな中にも更に独特の雰囲気があるので、気軽に友達にオススメできない、好き嫌いが別れるタイプの作品。
ハッキリとした道標…“引き金”になるシーン(ある一つのシーンを呼び起こすヒントになるシーン)が“わざと”曖昧にされていたりするので、「意味がわらない」という人もいるだろうと思う。
一緒に行った家族は「展開が速すぎて何がナンだか…」とボヤいていた(笑)

テンポも、速い部分と淡々としている部分とが入れ替わり、私的には、映画を観ながらと同時にパズルのようなシーン一つ一つを繋ぎ合わせて意味を理解していく…といった感じだったが、複雑なパズルではないので、慣れてしまえば途中からすんなり理解できる。
慣れるまでは、現実と仮想現実(“仮想”といっても実際に起きた昔の〔記憶〕のこと)の繋がりが少し曖昧で(中盤からラストの方がわかりやすい)、独特な雰囲気のある映画なので、その辺がこの映画の好みが別れるところだろう。
しかし、一見雑な作りのように見えて実は巧みに“記憶”というものを表現しており、ラストのトある人物の消された過去も意外で面白い。
自分も正直、試写会が当たっていなかったら映画館まで観に行ったかどうか…の好みのジャンルとは少し違っていたが、観ることができて良かったと思える映画だった。


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四世紀も愛する妻を待ち続けた【ドラキュラ〔フランシス・F・コッポラ〕】 [Movie]

四世紀も前の昔、伯爵は神に忠誠を誓った一人の騎士だった。
しかし、戦いの中で並外れた強さを持つ伯爵を負かすため、策略により最愛の王妃が犠牲になってしまう。
伯爵は失意の中、神を憎悪し、闇の世界の住人へ・・・
当時、“ドラキュラ”の世界を影を巧みに使った撮影方法と豪華な衣装、その衣装のデザインを石岡瑛子という日本人が担当したということで話題になった映画。

当時、映画館に観に行った懐かしい作品だ。
今見ると所々紙芝居的なアナログさを感じる部分が多いのだが、ゴシック・ホラー独特のチープ感が強調されて、今見てみると逆に新鮮で楽しめた。

主役のドラクゥーリア(劇中の発音はこんな感じ)伯爵にゲイリー・オールドマン、伯爵が四世紀も捜し求めた妻の生まれ変わりミナにウィノナ・ライダー、ヴァンパイア・ハンターのヴァンヘルシングにアンソニー・ホプキンス、ミナの恋人ジョナサンにキアヌ・リーブス、そして伯爵の城に住む魔女?三人の一人がモニカ・ベルッチ。
原作はブラム・ストーカー。

一般的な“ドラキュラ”は、モンスターであり人間に害を及ぼす悪役として表現されているが、この映画でのドラキュラ伯爵は伯爵の周辺にいる“人間達”の方が悪役に思えてしまうほど、純粋に愛する妻を捜し求める“男”として描かれている。
短いシーンだったが‥人間であった時の方が感情をあまり表に出さず、底知れぬ恐ろしさを漂わせており、闇の住人として生まれ変わったあとの方が、ミナに対してのみだが…悲しみが見え隠れし、非人間でありながら人間的な表情をしている。
ただし、人間的な表情といっても決して“人間臭さ”ではなく、うまく言葉で表現できないが(爆)‥どことなく底の見えない闇を背後に感じさせながら、瞬間的に人間の持つ愛=光(救い)を求める部分を垣間見せる…と言えば雰囲気だけでも伝わるだろうか?(はは…)

ドラキュラ伯爵を演じるゲイリーは、最近は奇抜なキャラ(それも悪役)を演じることのが多いようだが、この映画の中での演技は素晴らしく、ゲイリーの放つ彼自身の独特なオーラと存在感とがドラキュラ伯爵がピッタリと合わさり、今までに無いオリジナルな“ドラキュラ”を生み出している。
舞台のような少し大袈裟な動きと、役になりきった彼の発音“も”演技をしていて素晴らしい。
しかしゲイリーとは対象的に妻&ミナ役のウィノナ・ライダーは、白い肌にハッキリした目鼻立ち&大きな目…と、とても美しいのだが、“わざとらしすぎる”ベタな演技(当時観た時はあまり気にならなかったのだが)に、度々現実に引き戻されてしまい、ゲイリー扮するドラキュラ伯爵が追い求めるほどの妻にはとても思えなかった残念な点だ。
ちなみに、冒頭で妻が身投げをしたあとに伯爵が戦から城に戻り、横たわる妻に駆け寄るシーンで、伯爵に駆け寄られた瞬間に死んでいる筈の妻(ウィノナ)の目がピクピクと動いている^^;

・・・と、指摘したい部分もあるが、ホプキンス扮するヴァンヘルシングが伯爵よりも“悪役ちっく”なな行動をとっていたり、ミナの親友の婚約者達が昔の青春映画に出てくるようなベタベタな色男達だったり、影は薄いが頑張ってるキアヌ・リーブス、自信満々の色気を放つ魔女役が似合っていたモニカ・ベルッチ(今作が女優としての本格的なスクリーン・デビューと言われている)…と、一般的に知られた「ドラキュラ」とは違った面白さがあるので、TSUTAYAのレンタル半額セールの時などに借りてみてはどうだろうか(笑)


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二人ともイイ男・イイ女なのは認める【ザ・メキシカン】 [Movie]

先月のドップリ映画祭り@自分だけ(ポッツ~ン…)の続きを。

ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツが共演したことで話題になった映画【ザ・メキシカン】

監督は「マウス・ハント」のゴア・ヴァービンスキー。
組織のボス、マルゴリースにジーン・ハックマン、ジュリアを誘拐するゲイの殺し屋リロイにジェームズ・ガンドルフィーニ。

最近ツキに見放されている情けない運び屋ジェリー・ウェルバック(ブラッド・ピット)は、5年前に組織のボス、マルゴリースが乗ったキャデラックに追突してしまい、そのキャデラックからマリファナが発見されたためにマルゴリースが警察に捕まってしまった代償として、その償いのために組織に使われる羽目になる。
組織の命を受け、世界一美しいと謳われたアンティークの拳銃<メキシカン>を受け取るために、そして失敗続きだったが今回が最後の仕事ということで決意を新たにメキシコに旅立つジェリー…だったのだが、メキシコに行くためには恋人サマンサとのロスに行く約束を“また”破らねばならず、度々裏切られていたサマンサはついに大爆発。
「二人のために」と説得するも、サマンサはジェリーを激しく罵り一人でロスへ。
ジェリーでナンとかメキシコに辿り着いたものの、現地で銃の受け渡しを担当していたマルゴリースの孫が“事故”で死ぬというハプニングとともに、“また”ドジを踏み銃を奪われてしまう。
実はジェリーは知らなかったが、<メキシカン>には[恋人達の仲を永遠に引き裂く呪われた拳銃]という、いわくつきの伝説が語り継がれている銃だったのだ。
ジェリーは何度もドジを踏みながら(というより単に運が悪いだけだと思うのだが)、銃を取り戻すために奮闘し、サマンサはロスに向かう途中でリロイという殺し屋に拉致され、結局は再びジェリーと会わねばならない運命に翻弄されながら、物語は二人の視点になって進んでいく。

初めてこの映画を観た時の感想は、ぶっちゃけ「んー・・・」だった。
公開当初、大物俳優・大物女優二人の初共演、初ラブ・ストーリー!などとも言われていたが、二人が一緒にいる(接触する)シーンがあまりにも少なすぎて、とてもラブ・ストーリーには思えない。
というか、二人の演技はとても息が合っていたし、二人のピンでの演技は良かったと思う。
しかし、ジェリーの最後の仕事を、今までにないほどの決意で終わらせたいと必死になりながらサマンサが忘れられず行方が知れないサマンサの無事を案じる気持ち、サマンサの‥リロイに拉致されることによってジェリーへの愛を再認識…という二人の愛の“必死”さが、まるで感じられないのである。

ジャンル的にはロード・ムービーに入るようだが、恋愛要素とコメディが少々‥と完全なロード・ムービーにもなりきれておらず、結局どこに位置づけて良いのか分からない中途半端なストーリーになってしまっている。
残念ながら、せっかくのキャラ=俳優を生かしきれないままの残念な映画となってしまった。

この中で一際輝いていたのはサマンサを誘拐したリロイことジェームズ・ガンドルフィーニ。
とても頭のキれる殺し屋だが人間的な優しさも持っており、仄かに哀愁を漂わせている演技がとてもイイ。
サマンサに自然に恋愛カウンセリングを始めたり、リロイ自身も裏の仕事や恋愛のことで彼女に少しずつ心を開いていくシーンのガンドルフィーにの演技は素晴らしい。


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二人の息はピッタリ【トゥー・ウィークス・ノーティス】 [Movie]

サンドラ・ブロックとヒュー・グラントが共演した、ラヴ・コメディ【トゥー・ウィークス・ノーティス】

映画館で一度観た映画なのだが、劇中で使われているサントラに気になる曲があったので再び借りて観た。
特典付きの特別版が発売されているが、レンタル用でも「映像特典」や「音声特典」は観られるようで、ラストから続いていると思われる二人のカットされてしまったシーンや、監督・ヒュー&サンドラ3人の息の合った?音声解説(撮影秘話など)‥所々で話が反れているのが笑える‥は、一度映画館で観た方にも楽しめると思う。 特にNG集は必見。

 ※《映像特典》
   メイキング
   未公開シーン集
   NG集
   オリジナル劇場予告編

  《音声特典》
   ヒュー・グラント、サンドラ・ブロック、監督マーク・ローレンスによる音声解説

ヒュー扮するジョージ・ウェイドは、ニューヨークで最大手の不動産会社を経営するファミリーの一人で、GQの表紙を飾るほど有名人でリッチなハンサム男だ。
実質、一族の会社を取り仕切っているのはジョージの兄で、小太りで髪の薄くなった兄に代わり、その甘いマスクを最大限に使って広報活動や資金調達パーティを担当?している。
一方、サンドラ扮するルーシー・ケルソンは、地元で環境保護活動に取り組む有能な熱血弁護士で、歴史のある古い建物や公民館を街の再開発から守るためにジョージのような会社と戦う日々を送っていた。
そしてルーシーがウェイド社にアポ無しで突撃した時、顧問弁護士の面接を終えて出てきたジョージとバッタリ出会い、二人の利害?が一致してルーシーはジョージの顧問弁護士となることに同意する。
しかし、何もかも無駄なく完璧にこなすルーシーにジョージは次第に頼りっきりになってしまい、たびたび真夜中に呆れた理由で叩き起こされ、友人の結婚式の最中に緊急呼び出し、スーツやネクタイ選び‥しまいには離婚調停まで任される羽目に…。
そんな勤務内容?についにルーシーはキレて「あと2週間で辞める!」宣言をするのだった。

・・・と、ストーリーはありがちなラヴ・コメディだが、サンドラ&ヒューの二人の息がピッタリ合ったテンポの良い“かけ合い”が演技が見事。 その“かけ合い”の部分だけを見ていても楽しい。
全体的に粗い部分があるのは否めないが、所々お遊び?があって二人が楽しんで演じていたのが伝わってくる。
ヒューの演技は少々大袈裟だが(笑)逆にその大袈裟加減がイイ味を出しており、『容姿は良いのにイマイチ自分に自身が無い‥いや“しまり”の無い情けない男』の情けなさが、彼独特のイギリス英語で更に際立っていた。
逆にサンドラのルーシーはというと、「デンジャラス・ビューティー」に比べると、ヒューの情けなさが絶好調だった分‥“かけ合い”以外の部分では霞んでしまった印象が。
ちなみに、サンドラの親友役に「デンジャラス・ビューティー」で共演したヘザー・グハラムが出演している。

背景に流れる音楽もバラエティ豊かで、劇中でナラ・ジョーンズが特別出演して歌声を披露している。
その中でも特にオススメなのが、ヒューとルーシーの後任の女性が共にエレベーターに乗るシーンに流れている曲で、まだタイトルもアーティストもまだ不明なので紹介できないのだが(爆)、これからエンドロールのチェックするので判明したら是非紹介したい。

深いことは気にせず考えず(笑)マッタリしながら気軽に観られる楽しい映画なので、ラヴ・コメディが好きな方や二人のファンにはオススメ。


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孤独でピュアな心を持つ死神【ジョー・ブラックをよろしく】 [Movie]

ブラッド・ピットが初めて本格的なラヴ・ストーリーに挑戦&主演を演じた映画【ジョー・ブラックをよろしく】
ブラッドは一人二役を演じている。

富も名声も人間的にも素晴らしい、ウィリアム・ビル・パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)こと“ビル”。
ある日…彼の元に死神が現れ、寿命が尽きようとしていることを告げられた挙句、寿命を延ばす代わりにこの人間の世界を案内をするように言われる。
つまり、死神が人間界に興味がある限り、人間界に留まっている間はビルの寿命も伸びるということだ。
死神はビルの元に来る10時間前に“ある青年”の体を奪い取っており、その“ある青年”とはビルの次女スーザン・パリッシュ(クレア・フォラーニ)が、昼間コーヒーショップで出会った“感じの良い”青年だった。
“感じの良い青年”は、スーザンが‥劇中の言葉を借りれば「雷に打たれた相手」である。
そして、その日の身内だけの夕食の席でビルは死神を“ジョー・ブラック”と家族に紹介し、スーザンは「中身は死神だが器は昼間出会った青年」と再会することになる・・・

最初から最後まで隅々まで細かく全てが計算されていて、とても丁寧に作られた映画という印象を受けた。
人によっては淡々としすぎていて面白味が無い、飽きる映画だと賛否両論のようだが、自分はこの“淡々さ”がこの映画の魅力だと思う。
劇中の舞台となるウィリアム・ビル・パリッシュの屋敷や勤め先は、実際に使われている屋敷などを借りているのかスタジオ撮影のような安っぽさはなく(ブルー・スクリーンで撮影されたシーンもあるだろうが)、撮影方法や背景に流れる音楽に至るまで徹底した統一感と独特な透明感がある。
それらが更に登場人物達を美しくリアルに見せていて、更に多くもないが少なくもない登場人物達を‥どの人物も軽く扱っていないところが素晴らしい。

加えてキャストの演技ももちろん良かったが、特にアンソニー・ホプキンスの安定した演技と重厚感は、全てを手にしているビルにピッタリで、情熱を知らぬまま成り行きで結婚しようとしている次女スーザンに対して「雷に打たれるような恋をしなさい」と情熱について語る時などは実在するかのような存在感だ。
ブラッドの相手役のクレア・フォラーニも、情熱というものを知って“ジョー・ブラックに”夢中になっていく…華が咲くように美しくなっていく富豪の娘を見事に演じている。
ブラッドも、多少わざとらしい演技はあったものの(笑)、珍しく‥死神役ではあるが‥普通の“女を愛する”演技を魅せていて、とても新鮮で良かった。
というのは、他の今までの彼の作品で恋愛が絡むモノといえば片手で数えられるほどしかなく、彼の容姿を見るとL.ストーリーの映画に結構出演していると思われがちだ。 だが、実際はL.ストーリーどころか青春映画の出演が殆どなく、この「ジョー・ブラックをよろしく」が初めてのL.ストーリー‥それも主演を演じた作品なのである。
青春映画への出演も少ないのは、恐らくデビューした年齢が遅かったからという理由もあるのかも知れないが。
映画館で観たいと思っていたが、結局観に行けなかったことが悔やまれてならない。


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王子より強いシンデレラ【エバー&アフター】 [Movie]

なんとなく目に止まったドリュー・バリモア主演の‥「シンデレラ」がベースになっている 【エバー・アフター】を借りた。
王子役には「ミッション・インポッシブル2」でトム・クルーズの敵だったダグレイ・スコット。
ロドミラこと継母役には「アダムス・ファミリー」でモディーシアを演じた、アンジェリカ・ヒューストン。
ロドミラの二人の姉妹にミーガン・ドッズとメラニー・リンスキー。
そして冒頭で、曾曾祖母ダニエルの物語を話し始める語り部的存在の老貴婦人役でジャンヌ・モローが登場している。

登場人物が「シンデレラ」と重なってはいるものの‥シンデレラとは全く別物だ。
カボチャの馬車や魔法使いが出てくるわけではなく、レオナルド・ダ・ヴィンチやジプシー達が登場し、一般的に知られているシンデレラよりも、この【エバー・アフター】の“シンデレラ状態”の状況に置かれたダニエルという娘は、“自分がすべきこと”を行う強い意志があり行動力がある。
更に体格も少しポッチャリしていて、剣も扱えるし王子を担ぎあげて歩くような娘なのだ。
根本的に違うのは、ストーリーは「シンデレラ」をベースにしているので物語に登場するキャラクター達は殆ど一緒だが(レオナルド・ダ・ヴィンチやジプシー以外)、“貧しくて孤独な”シンデレラが、この映画では王子の方に当てはまるところだろう。

ダニエルは小さい頃に父親を亡くしたあと、父親が亡くなった日に再婚してダニエルの家に来たロドミラ(アンジェリカ・ヒューストン)に育てられる(メイドとして)ことになり待遇は最悪だ。
しかも、ロドミラは自分の娘二人のどちらかを王子と結婚させようと、家の家具や食器を勝手に売り払っては新しいドレスや宝石を買い、経済的にも破綻寸前…ときている。
そんな境遇にいながらも、小さい頃から父親の元で働いていたメイド達と団結し、売られたメイドを買い戻して家の再建のために働くダニエルは“生”というものを身体で感じ生き生きしている。

逆に、ヘンリー王子は経済的には裕福で何不自由なく育ってはきたが、国を継ぐ意志も自信もなく自分は何をすべきか目標を見失い、国と王子の将来を案じた王には勝手に政略結婚を決められ、そのことによって更に反抗的になり城から脱走を繰り返していた。
裕福でも心は満たされず、王子には生きている喜びがない。
そんな彼がダニエルと出会い、自信をつけ、農民の教育のために身分に関係なく誰でも入館できる図書館を建設する!と王に目を輝かせながら熱く語るまでに器量レベルが上がるのだから、王子様が娘に救いの手を~ではなく、むしろ王子が救われる‥精神的逆玉映画だ(笑)


・・・とストーリーはまぁまぁ好きだったのだが、残念なことに王子役のダグレイが‥演技の上手下手に関係なくミスキャストだと感じた。
継母役のアンジェリカは目力があってロドミラの腹黒さも表現し、さすがの演技力と存在感。
ドリューはどこまで行ってもドリューな演技だったが、この役にはあっていたと思う。
特にロドミラの娘二人の‥姉を演じたミーガンは最高で(今作が本格的なデビューらしい)、甘やかされた美人だが妹よりも悪賢く自己中心的で癇癪を起こすと暴れる姉妹の姉を見事に演じている。 

しかし、王子役のダグレイ.だけは、どうしてもこの【エバー・アフター】の世界にしっくりこなかった。
この映画の時点でのダグレイの年齢は不明だが、ドリューに比べて全体的に機敏さがなく、反抗的で脱走を繰り返しているような王子にしては年を取りすぎているように思えて仕方が無いのである。
決してファンタジーや時代モノが似合わないというわけではないが、この映画に関しては、王子の衣装もただのコスプレにしか見えず、どうにも感情移入ができなかった。


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身体は大人、心は19歳のまま…【レオン 完全版】 [Movie]

受けた仕事は完璧にこなす、ニューヨークに住む無口な“掃除屋”レオン(ジャン・レノ)。
その男の元へ、同じアパートメントに住んでる12歳の少女マチルダが悪徳警官に家族を殺されて助けを求めてくる。 そして強引に居座ってしまうマチルダ(ナタリー・ポートマン)。
レオンは最初は振り回され怒りを感じながらも、純粋なマチルダに徐々に心を開いていく…。

特にテーマとして何かを訴えるというものがあるわけではないものの…「掃除屋と少女」というシンプルな設定が、豪快且つド派手なハリウッド映画と比べると何度観ても新鮮で、またこの映画はリュック・ベンソン監督のハリウッド第一弾の作品だそうだが、ハリウッド独特の色に染まらずフランス風味がちゃんと含まれているのもイイ。
特に、レオンが仕事を受けるレストランやレオンの部屋、マチルダの部屋等…全て計算された素っ気無さが、更にレオンの閉塞的な世界をうまく盛り上げていると思う。

弟の復讐を誓うマチルダに銃の扱い方を教え‥自分も字を習いながら、心の中で少しずつ大きくなる“何か”に戸惑いを感じているレオンの姿は、ある意味マチルダよりも純粋で幼く見えた。
掃除屋としては完璧でも、他人を信用しないレオンが伯父だけを信じ、字が読めず計算もできないために伯父に都合良く使われるだけの生活に気付いていないところなどは、レオンの「孤独感」がよりいっそう強く伝わってきてとても切ない。


この完全版の見所は、内容は当然ながらノーマル版と一緒だが、見事なまでに二人の関係がノーマル版とは違って見えるところだろう。
ノーマル版ではレオンとマチルダが心を通わせていくシーン(銃の撃ち方を教えるシーン)などがあえて省いてあり、二人の親密度の高さは多少理解できても、それほど強く感じられない。 変な言い方だが確かに“大人と子供”だ。
それが、22分の未公開シーンが追加されただけで印象がガラリと変わり、完全版の方は“男と女”として見えるのである。
まとわりつくような生々しさではなく、マチルダが真剣な眼差しでレオンに“初めての人”になって欲しいと言うシーンなどは、二人の儚げな愛が強調されていて美しい。

マチルダはレオンに18歳だと偽っているのだが、ある意味嘘はついていない。
無邪気に物真似ゲームをしている時は実際の12歳の顔、レオンに愛していると告白する時は12歳とは思えない“女”を匂わせた表情を見せるからだ。
当然ながら当時演じていたナタリー・ポートマン自身も子役と言われていたので幼かっただろうが、子供の頃にしか持つことができない真っ直ぐさと大人になるまでの一瞬の輝きがマチルダのキャラクターとが見事にマッチして、素晴らしい演技で魅せてくれる。
ジャン・レノはさすがと言うべきか、レオンの持つ鋭さと、マチルダと同居後の表情と空気の変わり方は見事。


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絵本のように暖かな雰囲気の中に少しシュールな味付けが楽しい【アメリ】 [Movie]

基本的に鑑賞も趣味の一つなのでよく観る。 は自分にとってストレスのバラメータ。
兎にも角にも、ただただを貪り尽くす勢いで観たい気分に突入する場合、決まってストレスがMAX近くになっているので、それを解消してくれるは自分にとって安定剤だ(言い過ぎ?)。

そんなワケで…せっかくなので、最近ジャンルを問わず大人買いしたDVD、更に観足りなくてレンタルで借りて観た映画の感想を。


フランス映画らしい“シュール”という調味料が少し入っている、とてもお洒落な映画。
本国フランスでは、この映画がカンヌ映画祭に出品されなかったことが原因で論争を巻き起こり、ロングラン・ヒットと平行して色々と騒動が起きていたらしい(公式HP参照)。
まぁ…日本人である自分にはどの部分が意図的に描かれているのか全く理解できなかったのだが。

激しく神経質で現実的な母親アマンディーヌ・プーランと、コミュニケーションが苦手で自分の娘にハグさえしたことの無い父親ラファエル・プーランの二人に育てられた娘アメリ・プーラン(オドレイ・トトゥ)は、空想が大好きな内気な娘になってしまったのだが、ただ単に内気な=オドオドしているだけじゃなく行動力が物凄いところが面白い。

穀物や豆などが入った袋に手を深く入れること、クレーム・ブリュレの焦げた表面をスプーンで叩いて割ること、サン・マルタン運河で水切り遊び(石投げ)をすること…と、人とは少し違った“趣味”を持ち、あることがキッカケで隣人達を幸せにするために次々と「悪戯」を考え出していく。
その「悪戯」も、物語が進むにつれて段々と手の込んだ大胆なものになるのだが、その合間にアメリ自身もニノという青年に恋をし、直接言葉を交わす勇気が出ないまま‥アノ手コノ手と様々な小技の効いた悪戯(方法)で気を引こうとするのがとても微笑ましく愛らしい。

その「悪戯」犯罪じゃ…ということは置いといて(笑)、アメリに幸せを振り撒かれる個性的な隣人達、人々を幸せにしながらアメリ自身も苦手だった現実世界に少しずつ足を踏み入れ成長していく姿は、観ている私自身もアメリから幸せのお裾分けをしてもらったようで、観たあとはとても心地良い気分に満たされる映画だった。 レトロなサントラも良かった。
うまく表現できないが、まるでアンティークそのもののような…そんな暖かい雰囲気がこの映画にはある。


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ハウルの動く城を更に楽しむために・・・ [Movie]

ハウルの動く城」に関して、とても興味深い…なんてものじゃない素晴らしいコメントを書かれている方のブログに出会った。

この映画は私にとって、既に何度も観ているのに何故かまた観たくなってしまう映画。
私にとっては、するめイカのように何度も何度も味わっていくうちに色々と考える部分を発見できて観ていて飽きることがない映画だ。
とはいえ、何度観ても何故こんなに惹きつけられる映画なのか、自分でも良く理解していない所がある‥というか、うまく言葉(自分の感じている状態を表す意味として)で言い表すことができず、友人に「何故そんなに夢中になってるの???」と聞かれても、何処がどう魅力がある作品なのか‥この映画の中にある“戦争”が存在する意味など、うまく説明ができずに苛々していた。

それが「読んでいるブログ」にリンクしてある【Kinetic Vision】さんのハウルに関するコメントを読み、まさに脳内のモーゼの十戒
『感じていたのはコレだ』と物凄い衝撃と感動の波に飲まれたほど、丁寧に噛み砕かれて本当に分かりやすいコメントと文章の表現力に感動した。
ハウルの中(ストーリー)での“戦争”の位置づけが、どのようなものであるのか‥アレコレずっと考えていたのだが、それもこの方のコメントを拝見してスッキリ解消された。
明日また観に行くので、今まで以上にハウルの魅力が理解できそうでとても楽しみだ

他の映画に関するコメントもたくさん書いてらっしゃるので、是非映画が好きな方は読まれることをオススメする。 激しくオススメする。


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ハウルズ ムーヴィング キャッソー!(ネタばれ) [Movie]

ついに観に行ってきた【ハウルの動く城

昨日、家族と一緒に‥どうせ観るなら音響も画面も最高じゃないと!というワケで、クリスマスネオンが輝く六本木ヴァージンシネマへ。
あいにくのだったが、家を出る頃には止んで(管理人の気合で雨雲が吹き飛んだ?)、心配だったクリスマス限定イルミネーションもしっかり撮影することできた。
前回、六本木V.シネマで【LOTR 王の帰還】を鑑賞した時は、上映中にオシャベリし続けたり、屈みもせずにトイレに立つ人続出…で客の質が激しく悪かったので、もう二度と此処では観ないぞと友達と誓いまで立てた(笑)ほどだったが、観に行った時間帯が良かったのか‥はたまた運が良かっただけなのか‥トイレに立つ人も数人で、静かに(当たり前なんだけど★)集中して堪能できた。


 ■以下ネタばれ■

私的には好みのストーリー
大雑把に説明すると、ソフィーはハウルと出会って自信と自分の生きる価値を、ハウルはソフィーと出会って人を愛することと自分の生きる意味、自分の生きる価値を見つける。

確かに言われている通り、今までの宮崎氏の作品と比べると軽めの内容と荒削りな所があるかも知れないが、私的には「たまには、こういうのもイイんじゃない?」と思う。

【ハウル~】には、今までに無い年齢‥「紅の豚」は別として(笑)、「未来少年コナン」のコナンとラナ、「天空の城ラピュタ」のシータとパズー、「耳をすませば」の月島雫と天沢聖司、「もののけ姫」のもののけ姫とアシタカ、「千と千尋の神隠し」の千尋と千よりも、少し年上の大人の青年と少女が登場し、今までのどの作品よりも“愛”“愛情表現”がハッキリと目に見える形で描かれている。 今回の映画は大人向けだと言われていた理由が分かった。
そこがまた新鮮で、今度の作品も奥が深い。
原作者が違う(一から宮崎氏が書いたものではない)ので、そういったことも今までと違うと感じがするのかも知れない。
実はまだ原作を読んだことがないので今度買ってみようと思う^^

今までと少し違う作品とはいえ、美少年以外に愛すべきマスコットキャラや強烈猛烈にアクの強いキャラもいて、相変わらず宮崎ワールド万歳だ(笑)
何気にカルシファーがいないと家(城)も動かせないしお風呂も入れないし・・・実は本当の主役はカルシファーだったりするんだろうか(違います)
ハウルの城(家)の動きの滑らかさには感動。 とてもリアルで美しい映像だ。

一番心配だったハウルの声のキ●タ●、てっきり『俺様ぁ~』なオーラ全開の演技かと思いきゃ、そんなオーラは一切無く期待以上で、全く期待していなかった(爆)ので嬉しい驚きだった。
とても心地良い声で、ヘタレ声を出してる彼の声は他では聴くことができない(笑)だろうから、Jファンでアニメに興味が無い方にもオススメ…って、そんなコト私なんぞに言われなくても分かってる

ソフィの後ろ向きな性格や、ハウルの過去等があまり詳しく説明されないままで「???」な部分も確かにあったが、その辺はハウルの美形さとヘタレ(笑)な所、さすが三輪様オホホぶり(笑)で楽しめた。
もう一度、美形とヘタレのハウルに会うために観に行く予定だ(笑)


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